SWANとHOSE

榛名山にいった。
北関東に移住して、早三年、遂にである。

あの、榛名山だ、そして榛名湖だ、厭が応にでもテンションが上がるシチュエーションである。

 何故にか? 私の人生のひとときを、藤原拓海とともに過ごしたからである。

 伊香保温泉郷から、ヒルクライムを敢行した。しかしながらここで問題がある。私は二児の父であり、このACR50エスティマにおじいちゃんおばあちゃんひいおばあちゃんという、足かせを背負い、さらに、嫁は妊婦であるという、ハードなコンディションである。

 正直、こういう峠道にエスティマなどという車自体気にくわないのであるが、それはどうにもならない事情があるのだ。

 しかし、自分の心の高揚と、良い父であり、良い夫であり、良い息子であるという、三重苦のバランスに微妙に苦労した。

 一度も走ったことはなくても、榛名山の頂上にある榛名湖への向かう道というのは、知っているのだ。どれだけ、タイムを削ろうとトライした道であるというのであろうか? このカーブの後には、こういう直線が続いて、ここにヘアピンが来る。そんな、初めては知ったなら、あり得ない予測が完全に成り立つのである。

 ……しょうがないよね、何度も上ったり下ったりした道だもの。百円をかけてね。

 ただ、この不自然な状況を、知らない道を走っているという感じで装うのには、苦労がいった。

 どんなカーブがこようが、予測済みであるのだから、平然と走れるのだ。けれど、ここは、きたこともない場所なのだ。それは、周知の事実、不自然きわまりない。

 まあ、結果としては、そこを突っ込まれることはなかったのであるが、少々疑問に思ったのは、ヒルクライム中もダウンヒル中も特にプレッシャーをかけたつもりもないのに、数台、避けてくれたと言うことである。だって、ほぼフル乗車のミニバンで走っているのだから、そんな、とばしていないつもりでしたからね。

 さて、初めて通った、道、ですが、思う存分、イニシャルDを楽しましてもらいました。