Rebuild

 感想を書き直します。
 シールド、単純であるけれど、キジマとコジマを対比させるように書き分けた作品でした。大人も読める、子供も読めると言うところを目指したのでしょうし、文章の量もそれほど多くないので気軽に読めるものであると思います。
 しかし、内容に関しては、気にしようと思えば、深く読んでいくことが出来ます。冒頭に出てくる-シールド-を教える老人は、誰であるのか? 何故にここにいるのか? まあ、それに関してはオイオイ感じられるところがあると思います。何が自分の盾になるのか? それを考え続けている人間には、手に入る、そういう物かも知れません。
 ただ、おわりにでも村上龍氏が触れているように、会社や官庁のような自分の外側にある盾ではいけない、内面に確固として確立した盾を持つことこそが、重要だ、と言っているわけではない、と言うのには、ひどく共感がもてました。良い生活をしていき、会社の恩恵を預かり続けて生きていき、それを自覚している人間にとっては、それが真実であるだろうし、自分の内面に努力によって確立されたものを持つ人間になることも、幸せではあるのです。
 会社の陰に隠れたくないのは確かですが、いつもでそう思っているのか? そこが疑問です。